アブストラクト


 結局そう、自分の正当性を作り上げることに終始する。
 相手を過剰なまでに追及することの正当性。
 私の正当性がどれだけ正当か、私自身、自信がない。  
 けれど。

 自慢げに過去のある時点を振り返るのはやめなさいWくん。
 君は私の目から見ても、人を悲しませたのだから。
 あの時に。
 なのにその時を振り返って、
 さも自分が素晴らしかったような態度をなぜ取れる。
 君はただ可能性を残しただけだ。結論を保留しただけ。
 むしろ臆病風に吹かれた。そして結論を欲した人を無視した。
 今の君は残してきた可能性を回顧しているだけじゃないか。
 何もせずに。
 それを、何もしなかったというマイナスを、
 可能性が残っているというプラスに、すりかえている。
 人を悲しませたことを、忘れたふりして。
 君とは仲がよいつもりだけれど、
 殴り倒したいくらいの衝動にかられる。

 という主張も、真実かどうか、分からないな。
 ただの嫉妬。それもあるのかもしれない。
 私は私でまた、誰かに殴り倒されるのだろうね。

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