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IDENTITY

アイデンティティー
スティーヴン ピジック Steven Piziks 柳下 毅一郎 / ソニーマガジンズ
スコア選択: ★★★★





■ノベライズ。ということで、映画が先にあるわけだが、僕は未見でござる。でも聞いたことないなー。評判だったら耳にくらい入ってくると思うんだけどな。■内容はミステリー。フーダニット(Who done it)。誰がそれをやったのか的な、要は犯人探しである。豪雨で孤立した砂漠地帯のモーテルに集まる10人の人々。モーテルのマネージャーらしき人を入れれば、11人。女優に娼婦に、リムジン運転手、若者夫婦に、刑事と殺人犯、そしてリムジンにはねられた妻をかかえた、その夫、それから息子。■予定調和的に殺人が起こるるわけだが、最初の被害者は女優のキャロライン。彼女の首は、コインランドリーの中で回っていた。そしてそばには10号室のカギ。次の犠牲者の手には9号室のカギ・・・いったい何の意味が? そして死は積み重ねられ、どこにおいても、カギが現われる。まるでカウントダウンのように(実際はそれは残りの人数を示している)。しかし、時間が経つと、すべての死体が消えていることにメンバーは気づく・・・。いったい誰が? 何のために? ■結末にたどり着くと、解説にもあるように、これは反則技である。たとえば新本格派を好きな人たちが読んだら、なんと言うだろう。事件の裏にトリックがあるわけではない。叙述トリック、でもないだろう。タイトルからして精神世界くさい香りが漂っているが、なるほどソレは勘違いではなかった。これは、ある・・・メタファーというかね。■僕はトリックものはあまり読まないので、本作に激しく批判を浴びせることはないし、むしろ面白く読めた。じゃあなぜどこが反則なのかというと、それを書くと、本作の核に触れることになるので、それは割愛。■もしかして犯人がいない?って思った人も、最後にちゃんと「今回」のモーテルで起きた殺人の「犯人」は判明するので、ご安心を(まさかねーああいう展開とは思わなかったな)。ハッピーエンドでもいいかなあと思ったけれど、やっぱりこういうサスペンス、あるいはホラー映画的な終わり方の方が好きだ。ってことで、興味ある人は読んでみれ。

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