カテゴリ:テレビ/映画( 53 )

『ソラニン』


 をようやっと観てきた。
 というほど遅れたわけでもないが。
 地元の映画館はスッカスッカだ。
 私を入れても10人もいなかっただろう。

 余計な枝葉がそぎおとされた脚本はよかった(高橋泉だ!)。
 テーマは現実と夢の間(はざま)で揺れる日常にあると思う。
 それがストレートに、伝わってきた。
 平凡な人間なら、そしてそれが大多数だが、
 いつか夢から目を覚ますときがやってくる。
 刹那的だ。
 夢は、一瞬のようにも、永遠にも思えるかもしれないけれど。
 夢から覚められなかった、あるいは覚めたかった種田は、死に向かった。
 そして種田の遺志を最大限自身の力で継ごうとした芽衣子もまた、
 刹那の輝きを手にし、種田の死を乗り越え、
 ある意味で目を覚まし、再び日常に戻っていく。
 そこにある強い意志が、音楽、特にライヴにある刹那と結びついていて、
 音楽ファン、ライヴファンであれば(いやそうでなくとも)、
 これは、胸に迫るものがある。
 
 ラストのライヴシーンの輝き。
 まったく仰々しくない、まさにインディバンドのライヴなのだが。
 日常に立ち戻り、立ち向かうための、ほんの刹那の輝きが放射。
 芽衣子さんの最後のシャウトはビリビリする。

+ + +
 
 そしてまたゆるい幸せがダラッと続く。
 悪い種が芽を出しても、夢から覚めざるを得なくても、
 今ある日常を受け入れて前に進むのが、人生のひとつのあり方。
 
 
 

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『ゾンゲリア』

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ビクターエンタテインメント

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 『TRASH-UP!!』のダン・オバノンに関する記事を読んで、
 あーそういえば観たような観てないような、だったので観る。
 確かに今一歩感はあるかもしれないけれど、
 それでもグロ描写は控えめで、
 煎じ詰めればどんな映画も愛を描いているという
 私の持論をなんとなく裏付けてくれているような、
 ホラーの枠に落とし込むのもためらわれるような作品だった。

 目に注射針のシーンよりも、
 医師の鼻から酸を注入してしまうシーンの方がインパクト。

 冒頭はあまりの甘ったるさ(!)に借りるDVD間違ったかと思ったが、 
 いきなりスコップで襲い掛かってくるやつらにちょっとびっくりした。
  
 ラストに明かされる衝撃の事実も面白いけれど、
 そう考えると彼はなぜ普通に生活してたのか。
 自身も気づかぬところで他のものと同じことをしていたのか。
 あの街は何の為の街で、いつできたのか。
 マッドサイエンティストの過去も含め、
 裏のエピソードまで描いてボリュームアップすれば、
 もっとひきつけられるかもしれない。
 でもいまどきのスピーディな展開になれた向きには、
 緩慢に映るだけかもしれない。
 謎は伏せたままの方が面白いということもあるか。

 物悲しい映画だった。
 あとヒッチハイカー役の女の子がめっちゃきれいだった。

 

Dead & Buried (1981) Trailer

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『アポカリプト』

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ポニーキャニオン

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 『博士の異常な鼎談』内にて、
 水道橋博士氏とライムスター・宇多丸氏が、
 ちょっとだけ触れていた映画だった。
 私は飛びついて観てみた訳だ。

 映画館で映画を見るのと、
 DVDで観るのとは、
 ライヴとライヴDVDくらい違うと、
 そのスキンヘッドサングラスの人が言っていたが、
 これは映画館で見るべきだったか。

 普通にエンターテイメントで、
 はらはらどきどきだった。
 時代考証というか、史実と違うということを、
 書いている人もいるみたいだけれど、
 私はまったくその辺に詳しくないので、
 ぜんぜん気にならず。
 そもそも何時代のどの部族とか文明とか、
 そういう設定は明らかにされていない劇中では。
 なんでマヤ文明だと分かる人は分かるのだろうか。

 壮大な自然とCGなしのアクションというか、
 サバイバルシーンが全編に渡って。いやースケールでかい。
 断頭シーンの盛り上がりとかすごいですね。
 
 "その内輪モメ、外から見たら子供の遊びだぜ"的なラスト。
 これが印象的だ。
 ある種グロテスクとも言える、別の視点が現れるのだ。
 『蝿の王』のラストを彷彿とさせる。
 主人公の妻が縦穴の中で助けを待つのは、
 "井の中の蛙"のメタファーなのかと勘ぐったりする。

 ― apocalypto movie trailer
 

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『我々は有吉を再び訴える ~沖縄ヒッチハイク殺人未遂事件の全真相~』

我々は有吉を再び訴える ~沖縄ヒッチハイク殺人未遂事件の全真相~ [DVD]

ポニーキャニオン

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 しまった!2作目から観てしまった!
 監修はマッコイ斉藤。TV番組ディレクター。

 知らない人はタイトルだけ見て、
 なんだか物騒な印象を持つかと思いますが、
 これはフィクションです、念のため。 

 元・猿岩石という肩書きも要らないでしょうが、
 芸人有吉弘行氏が沖縄から北海道、
 日本縦断をするヒッチハイクを計画、
 それに同行するクルーが遭遇する戦慄の出来事・・・。

 クライムロードムービーと銘打ってありますが、
 殺人未遂が連続するのが本筋です。ってかわき道はない。
 有吉氏が同行ディレクターの斉藤氏の殺害を企て、
 それが何回も失敗し、果ては立てこもり事件にまで発展。
 「水曜はどうでしょう」の雰囲気をイメージしてくれればバッチリなんですが、
 全編があんな感じのドキュメンタリータッチ(こっちはあくまでタッチ)なのですが、
 やはり空気作りが大事なんでしょう、
 まあモラルに欠ける有吉氏(もちろん演じてるだけです)も問題なんですが、
 いちいち斉藤氏が有吉氏にケンカ腰なんですね。
 「ふざけんじゃねーよお前」とか、
 「それはあれだろお前、俺ゆるさねえよそんなの」とか、
 言葉尻捕らえてネチネチ絡みつくあの感じが全編で。
 狙って出てきた空気なのか分からないんだけど、
 そういうときの二人の空気はすごくはシリアスなんだけど、
 会話の中身に耳を澄ますとどっかおかしい(笑)。
 デリヘル嬢を部屋に呼んでいた有吉氏を説教するところが最たるもので、
 「ヒッチハイクSEX」と「プライベートSEX」について、
 ホテルの部屋で二人で延々と言い合うシーンがあるのですが、ここが爆笑ものでした。 
 こういう空気現実でもありますよね。
 まじめな話してるのに、言葉の意味に固執しちゃって、
 気がついたら相手の言葉の意味を確認することしかしてないの。 
 答えに辿り着かない会話の妙を楽しめます。
 このシーンは特典でノーカットで観れますが、必見の迷走振りです。

 他にも印象的なシーンがあり。
 打ち合わせに行くって部屋から出てきた有吉氏のでかいサングラスに吹き出し。
 「お前邪魔なんだよ、いらねーんだよ」と脇にどかされた、
 デンジャラスの安田氏が怒り出すシーンで、斎藤氏と有吉氏の失笑に吹き出し。
 最後になぜか白いブリーフに白いハイソックスで警察につかまる有吉氏に吹き出し。
 さっきまでソックスなんて履いてなかったのに(笑)。
 でも最後のインタビューでの「まさにデンジャラスでしたね」の連発はいらない気がする。
 
 総じて面白い。きっと細かいせりふは決まってないんでしょうね。流れがあるだけで。
 前作も観なくては。

 そうだ、下に今作の予告編を―


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『ハルフウェイ』

ハルフウェイ [DVD]

ポニーキャニオン

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 なんとなくキタガワさんに苦手意識を持っていたのですが、
 この作品は好きですね。
 虫が好かないというような理由で嫌っていた自分を省みます。
 
 "途中"という意味のhalfwayを読み間違えた"ハルフウェイ"、
 このタイトルに示されるように、物語は途中で終わる。
 だけど現実というものには始まりも終わりもないでしょう。
 いつだって物語、言い換えれば人生は、途中のまま、そこに流れている。
 僕らはいつだって途中を生きている。
 その現実を切り取ったように、途中から始まり、途中で終わる。
 この潔さがいい。胡散臭さもないし。

 タイムリミットを抱えた高校時代特有の焦燥感と、
 それがゆえの思いの強さと、一事が万事の世界観。
 青春と言うと安っぽいけど、にやけた笑いでごまかすようで、
 その裏で必死に何かを思ってる、あの青臭い感じがあって、
 そこがたまりません。刹那的であるが故の矛盾。

 結論として、やっぱり好きな人にはそばにいてほしいよね。
 そう思います。どう考えたって、それが素直な気持ち。

 だから最後にあの涙目に見える瞳で、
 笑いながら"何か問題でも?"というように、
 まっすぐに問いかける、そこにある強さが胸を打ちます。
 
 やっぱり私は岩井俊二好きなんだなあと思う。
 実際関係ないかもしれないけれど。
 
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『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』

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 リアルタイムで体験していないし、
 詳細な情報も頭に入っていない私としては、
 ドラマとして観てしまうのです。
 思想的な部分は当然詳しい説明はないので、
 矢継ぎ早に繰り出される論理は半ばスルーしてしまう。

 3時間以上ある長丁場ですが、まあでも駆け足な印象があります。
 当然ですけれど。
 中盤かの「総括」という言葉が頻出し、
 それがリンチへと移行する過程が描写されていますが、凄惨です。
 破綻しているのは確実なのに誰も声を大にして指摘できない状況が、
 「革命」の名の下に作られてしまっている。
 精神的・肉体的苦痛の中で自らを省みる(厳密には違うかもしれないが)ことなど
 できるわけがない。何の合理性もない。 

 革命に対する熱は感じられるものの、
 そこにドラマを感じてしまうのは、私に思想性がないのと、
 思想的な部分が掘り下げて描かれていないのと(主眼ではないんでしょう)、 
 現代の社会的状況が革命にリアリティを持たせていない?のと、ではないか。

 だから赤軍がたどった道と言うよりは、
 ある集団の中での派閥、意思統一の難しさ、
 というようなものを強く意識させられた映画。

 リアルタイムに体験した世代にはどう映るのか。
 今度聞いてみたいと思います。
 
 並木 愛枝(なみき あきえ)さん、光ってました。
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『サンゲリア』

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キングレコード

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 『サンゲリア』観たよ! ルチオ・フルチ。
 語りつくされた感のあるゾンビホラーですが。
 シリアスなものを期待してたのですが、
 どこかズッコケな感じのある、パワーで押すタイプの映画ですね。
 だって話にまとまりがないというか、筋が見えない。
 あの島で太鼓鳴らしてんの誰だよっていう。
 「俺たちに呪いをかけようとしてる」って誰がだよ。
 なんで400年前のコンキスタドールを蘇らせようとするんだろう。
 誰が。
 それにそれに気を抜きすぎだろっていう。
 だから安易にゾンビに食いつかれるんだよ。
 何があるか分からん島に最初に二人で乗り込もうとするのもおかしい。
 「病気が云々」って話を知ってるはずなのに!

 まーよくわかんないけど中盤からバンバン出てくる汚らしいゾンビは好きですね。
 私の頭にあるゾンビのイメージを裏切らない。トロい動きに静かなくせに暴力的。
 最初に出てくる巨漢ゾンビが一番好きですね。インパクトある。ぶよぶよ。
 フォトギャラリーで彼がクールに決めてる写真があって笑える。
 いまどきのネットの情報に慣れた世代にはぜんぜんグロテスクじゃないでしょうけど。
 最後のバイオハザード的なゾンビ群に対する
 火炎瓶乱れ投げ&ショットガン・拳銃撃ちまくりシーンの方が、
 観ようによってはグロテスク(カット使いまわしまくりらしいけど(笑))。
 人間っておっかねえなあって思う。結局力で解決だ!っていう。  

 最も好きなシーン? 水中でまさかのゾンビvsシャークのシーン。
 あの幻想感ったらないですね。曲もなんだかAmbientじみてるし。
 しかもあの場面は本筋にあまり関係ないような気もする。

 しかしBGM好きだなあ。サントラが欲しい。

 私の話もまとまりないっていう(笑)。羅列だ羅列。
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『ウルトラミラクルラブストーリー』

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 他の人の解釈なんて知らんけど。

 最後のシーンにふたつ。

 1. 
 脳みそとなることによって、
 いや、脳みそだけの存在になってもなお、
 陽人はマチコ先生を救ったという、
 愛の解釈。

 2.
 脳みそが熊に食われることによって、陽人の存在は熊に溶け込み、
 その熊が自然で暮らし、あるいは子供を生み、あるいは死んで土に返り、
 いずれにしろ、熊に溶け込んだ陽人はそこからさらに自然に溶け込む。
 そしてマチコ先生を取り囲む自然の一部となって、
 いつまでも最愛の(大好きな、という言葉が相応しいか)マチコ先生を、
 包んで、一緒に暮らしていく。ある意味で。

 いずれにしろ、ウルトラミラクルだっていうね。
 それ以外の言葉は当てはまらない。

 『ジャーマン+雨』にも思ったけど、
 この監督は若干頭がおかしいんじゃないかな(笑)!
 褒め言葉ですよもちろん!
 すげー挑戦的な気がする。
 エンターテイメントにもなっていない気がするもの。
 前作の方がまだ分かりやすかった気がするもの。
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『悲しいボーイフレンド』

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ある程度生きてくれば、
誰かとの間にわだかまりを残したまま、
前に進んでいくこともあるだろう。

バカみたいに意地を張ったまま、
それが当たり前になり、いつしか、
その誰かとの連絡が途絶えてしまうこともあるだろう。
そして「しようがない」の一言で胸の奥にしまう。

だが、たとえその当人と(生涯)会えなくとも、
今の自分自身をよりよく変えていくことで、
その過去のわだかまりを、
自身の中で消化することもできるのではあるまいか。
「しようがなかった」の一言は、逃げではあるまいか。
本当に悔いるのなら、逃げるわけにはいかない。

この映画の中では、ある映像が、想いが、
その変化のきっかけになる。よりよい変化への。
そしてこの映画を観た人には、
この映画がきっかけになる。やさしくなることへの。

ソフト・スーパーナチュラルな、ビタースウィートストーリーだった。

+++

しかし愛や恋が絡む物語は、いまだ私の心に波紋を生むようだ。
まだ懐かしい記憶には出来ていない。
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『ファニーゲーム U.S.A.』

ファニーゲームU.S.A. [DVD]

アミューズソフトエンタテインメント

スコア:



※※ネタバレありです。※※

たとえば、あなたがもっとも恋焦がれる人の顔を思い浮かべる。
できるかぎり、リアルに、思い浮かべる。
そこに、顔に、突然に、穴が開くと想像してみて欲しい。
キレイなものではない。グロテスクな穴だ。
脳漿が飛び散り、筋繊維だかなんだか分からないが、
筋っぽいものが、歪な穴からぶら下がるのだ。

そんなシーンはまったくないが。
そんなイメージの映画だ。

現実の中では、自身とどんなに密接に結びついているものだろうと、
容易に崩壊しうる。思いもしないほど、いとも簡単に、崩れ去る。
そんなはずないだろうと思う暇もないほど、あっという間に。
殺す気まんまんでやってきた愉快犯に、
ターゲットにされた者が、万が一にも勝つことなどありえない。
犯人が捕まるかどうかとは、また別の話だ。
生きるか死ぬかという賭けになったら、ターゲットはまず負ける。
つまり死ぬのだ。

どこからやってきたのかも分からない。金髪の青年二人。
白いポロシャツに白いハーフパンツ。白い手袋。
卵をもらいにきたのが、すべての始まりで。
前情報なく、つまり何の枠組みもなく観ていた私は、
これがどういう流れになるか分からず、
妙にいらつかせる青年たちだな、この目的を曖昧にしたまま、
他人の家に居座るという、ある種の空気を読めない男たちを、
不快に、けれど面白く描くのかと思ったら、事態は急転、
いきなり彼がジョージの足をクラブで叩き折るところで衝撃。

事態は一気にバイオレンスに。
アンとジョージ、その息子を家に監禁し、
12時間後に生きているかどうか賭けをしようと言い出す。
ジョージが目的をたずねてもいっさい語らない。はぐらかす。
「さあ」、「別に」。
なんだこの気持ち悪さ。
急にカメラに向かって語りかけたりするんですよ。
「こんな終わり方で満足ですか?」とかね。
なにかパロディめいた空気もあるが。描写が凄惨である。

結局誰も助からないですからね。
誰かが死ぬけどメインは助かる、みたいな、お約束的な展開にはならない。
アンがショットガン撃って犯人の一人を撃ち殺すんですが、
なんと、「リモコンはどこだ!」と激昂したもう一人が、
リモコンの巻き戻しボタンを押すと、ショットガン発射以前に
時間が巻き戻ってしまう!! なんだこれは!
絶対に、そう絶対に、賭けには勝つのだ彼(ら)は。
生き残ると思われたアンでさえ、「チャオ」の一言で、
ヨットから突き落とされ、湖に沈む。
あまりに圧倒的な絶望。
暴力の行き着く先がいかに絶望的か。
観たものは、嫌でも思い知る。
涙さえ出ないくらいに、落ち込むことだろう。

これはミヒャエル・ハネケ監督自身の、セルフリメイク。
オリジナルも観てみたい。
しかし観なければよかったかなあと、若干の後悔。
不快指数が極めて高い。これは褒め言葉だけど。
なぜならそれを狙って作られたようだから。
なにがファニーかといわれれば、
優等生的なあの笑顔が、ファニーだったりする。
そして極めて不快に思いながらも、
あの傍若無人さに憧れてしまう自分もいたりする。
それが正直なところだ。

これを観てから急の訪問者が怖くてたまらない。
もしも・・・などと考えてしまう。
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