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真鍋昌平 - 『スマグラー』

スマグラー (アフタヌーンKC)

真鍋 昌平 / 講談社

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自分の可能性を信じてた
潜在している筈の力で
思いどおりの世界を切り開ける気がしてた

なに一つ遣り遂げたコトもないくせに・・・

大事なときに何時も逃げ出した
キズつかないよう争いを避け
負けないように逃げてきた

カラッポで 何も無いまま

"背骨"役を演じるンだ

本気の嘘が

真実になるように


『スマグラー』より。
後に『闇金ウシジマくん』でヒットを飛ばした真鍋昌平氏の
初単行本作品?かしら。違ってたらすいません。
もう10年前の作品で。当時初版で買いました。

上の抜粋だけだとなんだかな?なので、
せっかくなので、帯にあるあらすじを―

『借金の返済のために高利貸しから紹介されたバイトは、「運送屋」。
運ぶのは死体や法律に触れるもの。
役者志望のフリーター・砧涼介が踏み込んでしまった世界は、
たった一度のミスすら命に係わる死と隣り合わせの世界だった。
ところが涼介は、捕まえた暗殺者「背骨」を"運送中"わずかばかり彼に
心を許したせいで、彼を逃がしてしまった!』

ということで、砧は、"背骨"を引き渡す予定だった、
堅気でない方々の本部に、"背骨"として引き渡される。
その間に、ベテランの仕事仲間が、逃げた本物の背骨を捕まえる、という手筈で。
幸いにも引渡しの相手は背骨の顔を知らないので、
砧がボロを出さない限り、ばれることはないはず・・・。
なのだが、そう簡単にはいかず、執拗な拷問が始まって、砧は死を覚悟する。

その瞬間に始まるモノローグが、上の抜粋なのです。
そして砧は見事、本物の背骨を凌駕するかのごとき(とは言いすぎですが)、
見事な演技(もしくは憑依)をやってのける。
「本物の背骨だ」と言わしめるほどの・・・。

生まれて初めて死ぬ気で何かをやってのけた砧の姿に感動を覚えると同時に、
それとは真逆な態度で人生を通過している自分に不甲斐なさを通り越して情けなさを感じ、
ボロボロ泣きましたね・・・私・・・。

裏社会の人間が見せる衒いのないコミュニケーション、
心の交流も、不思議な爽快感をもたらします。
重苦しい作品ですが、それだけに、最後に読者に吹く風は心地よい。

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