市川春子 - 『虫と歌 市川春子作品集』
どっかで"「星の恋人」がいい、単行本化希望"、
というような文を読んでからずっと気にしていて、
そのくせ忘れていたのだが、
ここにきてQJやwebDICE!で取り上げられて、思い出しました(笑)。
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昼だか夜だか分からない不思議なトーン使い。
明るさと暗さが同居する。
話の筋はちょっと書けない。
ファンタジーという括りでいいかしら。
絵はダルい感じでソフトなのだけれど、
よく考えると、話はけっこうグロテスクな。
でもセンチメンタルでノスタルジックな部分もあり。
構図とか間とか台詞(なんか独特の台詞回し)とか、
難しいことは考えてる時間も素養もないので割愛で。
「日下兄妹」が一番分かりやすいですかね。
肩を壊して野球を諦めた主人公の元に現れる、
ネジから生まれた女の子。二人の奇妙な共同生活。
なんの論理的説明もなし。まあ、あったら余計っていうか。
絵はふわふわしてるんだけど、
ドラマがあって、それは必ずある種の別れに向かっていく。
失望をもたらすものではないけれど。
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個人の生というやつは、客観的に見たら滑稽で、"?"かもしれないが、
それでも主観的には、当の本人としては、
その状況を精一杯楽しむことで(上を目指さないということではない)、
幸せを感じることができるのだという、そんな流れを感じた。
確かに人間は"人間"であるけれど、
何か"大いなるもの"の一部でしかないのだと、
だから自分につながる"すべて"の関係性に気づくことで、
より幸福になれるのではないか。そんなふうに思う。
高野文子さんとの類似性の指摘が避けられないようだけど、
まあ私はちょっと読んでないので、言及することができない。
相当影響下にはあるみたいですね。
そうでなければここまで指摘されないでしょう。
どこが新しいとかっても言えないんだけど、でも不思議な作品。
by BUG_life_wave
| 2010-02-09 00:48
| 本